The Immortal Hulk #2

致死量のガンマ線を浴び、死を待つだけの存在--"歩く亡霊（The Walking Ghost）"となったブルース・バナーは、放射線測定器の鳴り響く部屋で頭を抱えていた。夢の中で彼は、すべての始まりとなったガンマ線爆発事故の夜を思い出す。バスに乗るブルースは、崖の向こうで緑の光を目にし、不快な胸騒ぎと"もう一人の自分"のメッセージのような感覚を覚え、名前も知らない町のバス停で下車した。

町を歩き、ダイナーでサニーサイドアップを食べるブルース。ささやかな幸福を噛み締めながら、旧友のレナード・サムソンや恋人ベティ・ロスを思い出す。食事を終え町を歩くブルースは、デイリー・ビューグル誌の「ハルク目撃」という見出しに目に留まる。だがそれ以上に彼の関心を引いたのは、町で多発している不審死を報じる地元紙の記事だった。

ブルースはバーに立ち寄り、不審死についての情報を探る。バーテンダーは「ただの偶然だ」と言うが、客の一人ロイが口を開いた。「違う、あれは"悲しみ"のせいだ。誰かが死に、葬式をし、皆が悲しみに沈む。するとまた誰かが死ぬ。まるで"悲しみの連鎖"さ。この町はやがて全員がその連鎖に沈むだろう。」ブルースが「その連鎖はいつ始まった？」と尋ねると、ロイは「デル・フライが死んだ時からだ」と即答する。デル・フライは、町の大学で人気のフットボール選手で、誰もが尊敬する人物だった。そして、彼の父フライ博士は放射線研究者であったことを聞いたブルースは、すぐに何かを察する。

バーを出たブルースは墓地へ向かい、デルの墓に触れる。そこから異常な放射線反応を感じ取った彼は、すぐさま環境保護庁に連絡し、墓の封鎖を要請する。だが匿名の通報では取り合ってもらえず、呆れたブルースはついに自身がブルース・バナーであることを伝え電話を切る。

その後、バスから見えた緑の光の正体を探るため、ブルースは崖を登り、光る洞窟へと入る。中では放射能で焼けただれた死体が山積みになっていた。その背後から、全身を放射線の緑に輝かせたフライ博士が現れ、ブルースを襲う。だがブルースはハルクに変身し、彼をねじ伏せ、彼の息子デルの死の真相を問い詰める。

博士は、妻クレアが死んだことによって死を恐れるようになっていた。その恐れは次第に強くなり、ブルース・バナーによるガンマ線の研究を元に死を克服する研究を始める。成功を確信した彼は自らを実験台に人体実験を開始した。効果は抜群だったこともあり、遂には将来有望な息子デルにもその薬を投与した。しかし、デルの目と口から緑色の光と血液が溢れ出す。「緑の扉が見える...誰かが向こうから見ている」と言い残して息絶えた。そして、その罪を誰にも言えず隠れ続けていた博士自身もまた、やがて"変化"に侵されていった。

話を聞き終えたハルクは博士に言い放つ。

「お前はこの洞窟に隠れ、見つけた奴らを殺してきた。お前は"死"を恐れたが、今やお前こそ"死"だ。息子を愛していた？だがお前は、息子を墓に入れた。...分かるか？」

ハルクは怯えるフライ博士の手足を引き裂き、洞窟の奥に生き埋めにする。死ぬこともできず、地中に閉じ込められた博士は誰にも聞こえない声で叫ぶ。

「...お願いだ、死なせてくれ...！」